JPiere(ジェイピエール)
オープンソースのERP iDempiereの日本商習慣対応ディストリビューション
JPiere(ジェイピエール)とはオープンソースのERP iDempiere(アイデンピエレ)のプラグイン群であり、日本の商習慣に対応させたディストリビューション(頒布形態)です。iDempiereを日本の商習慣に対応させるだけでなく、操作を補助するユーティリティーやオリジナルのレポート、バッチ処理などiDempiereを拡張する多くの機能を1つのパッケージにして提供しています。
JPiereは"Japan"+"iDempiere"であり、"JP"は"日本(Japan)"を、"iere" は"yell"とかけて"応援"の意味を込めています。
JPiereは”オープンソース”であり、その機能のほとんどをGPL V2のもと”無料”で使用する事ができます。
JPiereは、"OSGi"と"アプリケーション辞書"の機能を最大限に活用して開発しています。この事により、JPiereはiDempiereのバージョンアップに追随する事ができます。
高額とされるERPを多くの企業に!!
一般的にERPは高額とされていますが、JPiereはオープンソースとしてその機能のほとんどをGPL V2のもと、”無料”で使用する事ができます。
導入工数を少なくし、"素早く"、"低コスト"でERPの導入を可能にする!
一般的にERPは、どの企業でも使えるように機能は汎用的に作られています。そのためERPの導入作業は、その汎用的に作られている機能を、導入企業が使いやすいように特化させていく作業とも言えます。
どのようなERPを選択しても、機能が汎用的に作られているパッケージシステムである以上は、ERPが提供している機能と企業が必要とする機能には多かれ少なかれGAP(ギャップ)があり、そのギャップを埋めるカスタマイズが必要になります。
JPiereでは、iDempiereを一般的な日本企業で導入する際にギャップとなる部分を洗い出し、そのギャップを埋めるカスタマイズを実施しています。
JPiereを利用することで、iDempiereを一般的な日本企業で導入する際に、ギャップとなる部分が少なくなり、その分開発工数を削減する事ができ、導入時のコストを抑える事ができます。
企業がERPを導入する際に初期の段階で、ERPが提供している機能と導入企業が必要とする機能がどのくらい適合しているか分析します(Fit&Gap分析)。導入企業が必要とする機能が、どのくらい適合(Fit)するかはケースバイケースですが、JPiereは、一般的な日本企業に必要とされる機能を中心に開発していますので、iDempiereを素の状態から導入するより、適合率が高くなり低コストな導入が可能です。
JPiereの主なカスタマイズ
JPiereに施された主なカスタマイズを紹介します。JPiereに施された全てのカスタマイズはJPiereカスタマイズ一覧を参照して下さい。
業務管理機能
契約管理
JPiereの契約管理は、契約書を一元管理し、契約内容に基づいて、販売管理と購買管理の各種伝票(受注伝票、出荷納品伝票、売上請求伝票、発注伝票、入荷伝票、仕入請求伝票)を作成する事ができます。JPiereの契約管理は汎用的に作られており、標準機能だけでも様々な契約を管理する事ができます。標準機能では管理できない特殊な契約を管理する場合でも、カスタマイズのベースとして使用する事ができます。[※詳細情報: 【JPIERE-0363】契約管理 ]
消費税処理の機能拡張
iDempiereは標準機能として世界中の間接税に分類される税金を処理する事ができるアーキテクチャを提供しています。その機能を拡張してJPiereでは、日本の消費税にきめ細やかに対応できるようにカスタマイズを加えています。[※詳細情報: JPiere Lab -> JPiere消費税関係カスタマイズ ]
複数締日対応
日本には五十払い(ごとばらい)といわれるような、ひと月に複数の締日を設けて支払いを行う商慣習が存在します。JPiere(ジェイピエール)は日本の商慣習に対応する事を目的としているため、五十払いのようなひと月に複数の締日のあるケースを適切に処理することのできるようにしました。[※詳細情報:【JPIERE-0105】複数締日対応 / 【JPIERE-0368】支払条件毎の売上/仕入請求伝票の登録期間の制御 ]
まとめ請求書
”まとめ請求書”の機能の本質は、売上請求伝票(売上の仕訳)を作成するタイミングと請求書(請求データ)を作成するタイミングを分ける事にあります。売上請求伝票は会計的に売上を計上するタイミングで作成する事を前提に、請求書を作成するために必要となるデータは締日以降に”まとめ請求書”の機能を活用し作成します。そうすることで締日を設けて請求書を発行している日本企業が、iDempiereをERPとして活用する場合に、利益をリアルタイムで把握するというERPの最大のメリットのひとつを享受できるようになります。[※詳細情報: 【JPIERE-0106】まとめ請求書 ]
見積伝票
iDempiereの標準機能では、受注伝票で見積もりも行います。見積もりが正式受注に至った場合は、見積もりをそのまま受注伝票として使用する事ができるので、合理的と言えば合理的なのですが、日本では見積もりを複数回行うのはよくある事ですし、見積もりのデータは受注データとは別に残しておきたいのではないでしょうか? そこでJPiereでは、見積専用の伝票を作成し、見積もりを受注伝票から分離できるようにしました。そして、見積もりから受注伝票を作成する事ができる、各種便利なツールも用意しています。[※詳細情報: 【JPIERE-0183】見積伝票(全項目)画面 / 【JPIERE-0185】見積伝票から受注伝票作成 ]
共有倉庫とセグメント別在庫管理と論理在庫移動
iDempiereでは、基本的な仕様として在庫管理を行う枠組みである"倉庫"は、倉庫の中にある在庫の責任部署を明確にするために、必ずどこかの組織に所属する事になります。この仕様によりセグメント(組織)別の貸借対照表を作成する事が可能になり、在庫の責任部署の明確化とセグメント別の業績評価という観点では理解できる仕様です。しかしいっぽうで、現実的には複数の組織の在庫が、物理的に同じ倉庫に中に保管されている事はよくある事でしょう。複数の組織で使用している倉庫を"共有倉庫"とし、JPiereではその共有倉庫とセグメント(組織)別の在庫管理がスムーズに処理できるように検討し、セグメント別の倉庫と共有倉庫とで論理的に在庫移動が受注伝票で出来るようにしました。[※詳細情報: 【JPIERE-0227】共有倉庫とセグメント別在庫管理と論理在庫移動 / 【JPIERE-0317】物理倉庫 ]
各種売上の認識基準への対応(出荷基準/納品基準/(みなし)検収基準)
売上の認識基準は、業界・業種・企業毎に異なります。JPiereでは色々な売上計上基準に対応できるように数多くのカスタマイズを加えています。
全銀協規定フォーマットのデータ(FBデータ)作成
全銀協規定フォーマットのデータ(FBデータ)を作成できます。[※詳細情報: 【JPIERE-0101】全銀協規定フォーマットのデータ(FBデータ)作成 / 【JPIERE-0102】全銀協データ(FBデータ)入力チェック ]
期末在庫評価
JPiereでは”素早く”、”低コスト”でユーザー企業の課題を解決するために、在庫評価については、期中の在庫評価は”標準原価”を採用し、管理会計として企業の損益を速報値としてリアルタムに把握できるようにし、財務会計として法令を遵守した在庫評価については、決算処理の一環として期末に実施し、速報値とした算出している利益を修正する方法を基本としています。[※詳細情報: JPiere Lab -> JPiere在庫管理カスタマイズ ]
共通基本操作
iDempiereの標準入力画面であるウィンドウは、汎用的なデータ入力画面としては、とてもよくできています。操作に慣れれば、どのウィンドウでも同じように操作する事ができます。しかし、汎用的に作られているので限界もあります。そこでJPiereでは、ウィンドウの足りない機能を補う事を目的に、特定目的用のウィンドウとも言える機能を提供しています。
1レコード複数行表示(フォームウィンドウ)
iDempiereの標準画面の特徴の1つに"単票表示"の画面と"一覧表示(複数行表示/グリッド表示)"の画面を切り替えて使用する事があります。一覧表示の場合は通常1レコードが1行として表示されますが、この1レコード複数列表示のプラグインを使用すると、1レコードの内容を複数行に表示させる事ができます。[※詳細情報: 【JPIERE-0014】1レコード複数行表示(フォームウィンドウ)]
マトリクスウィンドウ
マトリクスウィンドウは、正規化されていない表形式の画面を汎用的に作成する事ができます。マトリクスウィンドウは、正規化されているテーブルに対して、 縦軸(X軸/列)と横軸(Y軸/行)、そして編集する対象となるカラムを選択する事でパラメータ設定のみで作成する事ができます。[※詳細情報:【JPIERE-0098】マトリクスウィンドウ ]
シンプルインプットウィンドウ
シンプルインプットウィンドウは、1つのデータベーステーブルへのデータ入力をできるだけ簡単(省力的)に行う事を目的に作られたUIです。1つのデータベーステーブルへのデータ入力に特化する事で、より簡単に、より素早くスプレッドシートに似た操作感覚でデータを入力する事ができます。[※詳細情報:【JPIERE-0111】シンプル インプット ウィンドウ(簡単入力画面) ]
その他
お知らせガジェット
お知らせガジェットは、ログイン直後のメインタブに表示されるガジェット(ダッシュボード)のひとつで、ユーザーに”お知らせ”などなんらかの情報を通知するのに使用します。[※詳細情報:【JPIERE-0110】お知らせガジェット ]
クライアントの初期化と削除
クライアントの初期化と削除”プロセスを実行すると、iDempiere/JPiereのデータをまとめて削除できます。[※詳細情報: 【JPIERE-0158】クライアントの初期化と削除 ]
パフォーマンス改善
iDempiereの初期設定の状態は、残念ながらiDempiereのポテンシャルを最大限に発揮できる状態にはなっていません。そこで、JPiereではiDempiereのポテンシャルを最大限に引き出させるように、継続的に調査及び研究し、その成果を反映しています。[※詳細情報: JPiereのパフォーマンス改善への取り組み ]
JPiereは、iDempiereをベースとして次の5つから構成されています。
- JPiereコンフィギュレーションズ【JPCP:JPiere Configurations】
- JPiereフラグメンツ【JPFS:JPiere Fragments】
- JPiereベースプラグイン【JPBP:JPiere Base Plugin】
- JPiereプラグインズ【JPPS:JPiere Plugins】
- JPiereモディフィケーションズ【JPMS:JPiere Modifications】
JPiereコンフィギュレーションズ【JPCS:JPiere Configurations】
JPiereコンフィギュレーションズは、iDempiereをパラメータ設定だけでカスタマイズしておりその実態はPostgreSQLのダンプファイルです。iDempiereは初期設定のままですぐに業務に利用できるというものではありません。iDempiereを導入し運用するまでには多くのパラメータを設定する必要があります。そこでJPiereコンフィギュレーションズでは、必要となるレポート(帳票)を予め作成しておいたり、画面に表示する項目のレイアウトを予め使いやすく並び替えておくなど、パラメータ設定でできるカスタマイズを追求し、導入工数を削減します。
リポジトリ: https://github.com/JPiere/JPCS
詳細情報: JPiere Lab -> JPiere Configurations
JPiereフラグメンツ【JPFS:JPiere Fragments】
JPiereフラグメンツは、OSGiのフラグメントの機能を活用して開発したiDempiereのプラグインです。iDempiereのソースコード内に各種リソースを加える必要があるようなカスタマイズはJPiereフラグメンツとして開発しています。
リポジトリ: https://github.com/JPiere/JPFS
詳細情報: JPiere lab -> JPiere Fragments
JPiereベースプラグイン【JPBP:JPiere Base Plugin】
JPiereベースプラグインは、その名の通り、JPiereのベースとなる機能を1つのプラグインとしてまとめて提供しています。日本の商慣習に対応するための機能は基本的にJPiereベースプラグインとして開発しています。
リポジトリ: https://github.com/JPiere/JPBP
詳細情報: JPiere Lab -> JPiere Base Plugin
JPiereプラグインズ【JPPS:JPiere Plugins】
JPiereプラグインズでは、ある程度まとまった機能の単位で1つのプラグインとして独立して提供しています。
JPiereベースプラグインが、日本の商習慣に対応する事を目的とし、管理運用の観点からひとつにまとめているのに対して、JPiereプラグインズは、日本に限定せず汎用的に利用価値のある機能を開発し、世界的に利用して頂く事を目的として区分管理しています。
詳細情報: JPiere Lab -> JPiere Plugins
JPiereモディフィケーションズ【JPMS:JPiere Modifications】
iDempiereのコアなソースコードに修正を加える必要がある場合は、JPiere モディフィケーションズとして区分管理しています。
JPiere モディフィケーションズは、OSGiのフラグメントの機能を活用し、直接ソースコードを修正するモデイフィケーションは行わず開発していますので、iDempiereのバージョンアップも容易に行う事ができます。
リポジトリ: https://github.com/JPiere/JPMS
詳細情報: JPiere Lab -> JPiere Modificatiions
JPiereは、オープンソースのERP iDempiereを日本の商習慣に対応させて、iDempiereの日本での普及と、日本の社会のより良い発展を目的に開発していますが、パッケージシステムという特性上、機能は汎用的に作らざるを得ませんし、ERPという非常に広範囲な業務をカバーする特性上、ユーザー企業が望むすべての機能を予め実装しておく事は不可能です。
そのため、システムインテグレーター(SIer)と呼ばれるシステム導入を請け負う会社の皆様にJPiereを活用してもらい、JPiereをユーザー企業の業務にあうようにカスタマイズして欲しいと思っています。
そこで、SIerの皆様がJPiereをカスタマイズするにあたり、どのように開発及びメンテナンスしていけばよいのか、その指針をいくつか呈示したいと思います。
【活用パターン1】SIerベースプラグイン + ユーザー独自カスタマイズのプラグイン
独自に開発した汎用的な機能をSIerベースプラグインとして、JPiereのベースプラグインの上に配置し、その上に、ユーザー企業独自にカスタマイズした機能のプラグインを配置します。
JPiereのバージョンアップでは、JPiereベースプラグインに関しては、最新のiDempiereで問題なく動作するようにする事を目標にバージョンアップ作業を行う事を推奨しています。その方針であれば、JPiereベースプラグイン自体をカスタマイズしてもバージョンアップ作業自体はなんらかわる事はありません。
JPiereのベースプラグイン自体を大幅にカスタマイズしたい場合や、反対に小規模な開発で済む場合、ユーザー企業が主体となってJPiereの導入を行う場合などに適用できる方法です。
【活用パターン2】JPiereベースプラグインをユーザー企業向けにカスタマイズ
JPiereのベースプラグインの中に配置します。ユーザー企業独自のカスタマイズも含める方法です。
JPiereのバージョンアップでは、JPiereベースプラグインに関しては、最新のiDempiereで問題なく動作するようにする事を目標にバージョンアップ作業を行う事を推奨しています。その方針であれば、JPiereベースプラグイン自体をカスタマイズしてもバージョンアップ作業自体はなんらかわる事はありません。
JPiereのベースプラグイン自体を大幅にカスタマイズしたい場合や、反対に小規模な開発で済む場合、ユーザー企業が主体となってJPiereの導入を行う場合などに適用できる方法です。
【活用パターン3】特定の業界・業種に特化したプラグインを開発する
この活用パターンは、イメージ的には活用パターン1とほとんど同義です。ERPはどの業界、どの企業でも使用できるように機能が汎用的に作られています。その反面、汎用的に作られているパッケージシステムだからこそ、特定の業界で必要となるような機能が実装されていない場合もありえます。
特定の業種・業界で必要となる機能を予めプラグインとして持っている事で、他のSIerとの差別化にもなります。
特定の業種・業界に特化した機能を持っている事はSIerの強みであり、他のSIerとの差別化になります。特定の業種・業界に特化した機能のアプリケーション辞書の設定を2Pack化しておいて、最新のJPiere/iDempiereに移植できるようにしておく事をオススメします。